~構造・課題・価格競争・育成方法まで徹底解説~
旅行業界における法人営業は、
一般的なBtoB営業と似ているようで、実はまったく異なる構造を持っています。
- 商材は無形
- 条件は案件ごとに変わる
- 決裁構造が見えにくい
- 関係性が成果を大きく左右する
その結果、多くの旅行会社で次のような課題が起きています。
- 法人営業が育たない
- 新規開拓が成果につながらない
- 価格競争から抜けられない
- 優秀な営業に依存している
本記事では、
旅行業界の法人営業を「構造」で分解し、
なぜ成果が安定しないのか、
どうすれば組織として強くできるのかを徹底解説します。

1. 旅行業界の法人営業が「難しい」と言われる本当の理由
無形商材という本質
旅行はモノではありません。
提供しているのは「体験」や「変化」です。
そのため比較されるときは、
- 行程
- 条件
- 金額
といった表面的な要素になりやすい。
結果として営業は、
「どこが安いか」「条件が合うか」という
物売り構造に引きずられます。
条件が毎回変わる設計営業
法人向け旅行には、
- 周年旅行
- 報奨旅行
- 研修旅行
- 視察・インセンティブ
など様々な形があります。
同じ「旅行」でも、
- 目的
- 参加者
- 成功の定義
が毎回異なる。
つまり、
旅行業界の法人営業は
商品営業ではなく、設計営業です。
決裁構造の複雑さ
担当者が前向きでも、
- 総務
- 経理
- 上長
- 役員
と複数の関門があります。
この構造を理解せずに進めると、
最後の最後で止まります。
2. なぜ旅行業界の法人営業は育たないのか
最大の理由はシンプルです。
営業を「構造」で教えてこなかったから
多くのマネジャー自身が、
- 見て覚えた
- 数を打ってきた
- 感覚で判断してきた
世代です。
そのため、
- なぜこの企業を狙うのか
- なぜ今なのか
- なぜこの順番で聞くのか
を言語化できない。
これは能力不足ではありません。
体系化してこなかっただけです。
私自身も、最初は「育たない側」でした
少しだけ、私自身の話をさせてください。
私は約30年JTBで
旅行業界の法人営業に携わってきましたが、
最初から成果が出ていたわけではありません。
営業のスタートはフルコミッション。
年収は100万円にも届かず、
「とにかく動け」「数を当たれ」と言われながらも、
成果が出ない時期が続きました。
行動量は誰よりも多い。
でも結果が出ない。
そこで初めて考えたのです。
「できる人と、自分は何が違うのか」
答えは才能ではなく、
営業を構造で理解しているかどうかでした。
この点については、
「旅行業界の法人営業は、なぜ育たないのか」
という記事で、現場とマネジメントの両面から詳しく解説しています。
3. 「新規を取ってこい」が成果につながらない理由
成果が出ないとき、
現場でよく出てくる指示があります。
「新規を取ってこい」
「このリスト、全部当たれ」
しかし、
- どこに需要があるのか整理していない
- 決裁構造を見ていない
- タイミングを考えていない
状態で動いても、
成果の確率は上がりません。
行動量が問題なのではなく、
考え方の設計が抜けているのです。
この構造については、
「『新規を取ってこい』が、旅行業界の法人営業を壊している理由」
で、具体例を交えて整理しています。
4. 旅行営業に必要なのは提案力より「質問力」
多くの営業が、
- 行程を組み
- 見積を出し
- 提案する
ことに力を注ぎます。
しかし、成果を分けるのは
何を提案したかではなく、何を聞いたかです。
質問を変えた瞬間、営業の景色が変わった
私自身、営業で結果が出始めた転機は、
提案を磨いたときではありません。
質問を変えたときです。
- なぜその旅行を実施するのか
- 経営として何を変えたいのか
- うまくいかなかった場合、何が起きるのか
この質問をするようになってから、
提案前の段階で
案件の8割が決まっている感覚を持てるようになりました。
価格の話は、後からついてくる。
主導権は、こちらにある。
この感覚は、
今でも営業・育成の軸になっています。
質問力については、
「旅行営業に必要なのは、提案力ではなく『質問力』だった」
という記事で、SPIN的な考え方も含めて詳しく解説しています。
5. なぜ価格競争から抜けられないのか
価格競争は、
見積を出した瞬間に始まるのではありません。
ヒアリングの段階で、すでに決まっています。
- 判断基準を作れていない
- 影響を掘り下げていない
- 決裁軸を動かせていない
その結果、
最後に残る評価軸が「価格」になります。
この点については、
「なぜ旅行業界の法人営業は、価格競争から抜けられないのか」
で、構造的に解説しています。
6. 属人化は、静かな経営リスクになる
「あの人がいるから安心」
「彼に任せておけば大丈夫」
この状態は、一見すると安定しています。
しかし実際には、
- ノウハウが残らない
- 若手が育たない
- 売上が人に紐づく
という大きな経営リスクを抱えています。
この点については、
「優秀な営業がいる会社ほど、旅行業界の法人営業は危ない」
で詳しく解説しています。
7. 個人の成功で終わらせなかった理由
私は20代でトップ営業となり、
29歳で最年少マネジャーとして
営業組織を任される立場になりました。
しかし、
個人で成果を出すことと、
組織として成果を出し続けることは別物です。
だからこそ私は、
- なぜその企業なのか
- なぜその順番で聞くのか
- なぜその提案になるのか
をすべて言語化し、
営業を構造に落としました。
結果として、
どの組織に移っても一定の成果を出し続け、
営業メンバーをトップ営業へ育てることができました。
本記事でお伝えしている内容は、
理論ではありません。
私自身が遠回りしながら整理してきた、
再現可能な営業の構造です。
8. まとめ|旅行業界の法人営業は「才能」ではなく「構造」
旅行業界の法人営業は、
- 難しい
- 属人化しやすい
- 価格競争に陥りやすい
と言われがちです。
しかしその多くは、
構造を整理していないことが原因です。
営業は才能ではありません。
再現可能な技術です。
本記事で扱ったテーマを、より詳しく知りたい方へ
それぞれ、上記の記事で詳しく解説しています。
旅行業界特化型・法人営業研修について
旅行業界の法人営業を前提に、
- マネジャーには「教えられる視点」を
- 営業担当者には「考えて動ける軸」を
整理する研修を行っています。
最後まで読んでいただき感謝です。
BssConsul代表
矢島英二
