【他人は変えられない】~変えられるのは自分だけ~

前項までのおさらいをします。
ストレスを軽減する方法は「結果、認められる自分(あなた)になる」。

ストレスを軽減する方法の全体像とプロセスは以下です。

そして、この手法を身に着けるには4つのプロセスを踏む必要があります。

本項では、そのプロセスにあたる上段図赤枠のフェーズ2「他人は変えられない」「課題の分離」について詳しく解説していきます。

他人は変えられない、課題の分離という思考はいずれも人間関係のストレス、悩みを軽減する第一歩、入口になる思考ですのでしっかりと押さえておきましょう。

尚、この思考だけでは結果認められる自分になるとことはできません。
あくまで入口です。

が、このプロセスを理解するだけでも心は随分軽くなりますのでぜひ取り入れてみてください。 

では始めていきましょう。

【他人は変えられない】

人間関係のストレスや悩みの多くの場合、職場の人間関係から生れます。

よくある職場での上司と部下の会話の例を使って本項を進めていきます。

上司と部下のよくある職場での会話

●上司A課長
Bさん、例の企画書まだ出来てないですよね。
仕事はスピードをもって対応してもらわないと困ります。
企画書の品質はBさんがもっと成長してからでいいです。
品質よりもスピードが大事だっていつも言ってますよね。
Bさんは同年代と比較すると結果は出てるようですが、今のスピード感ではこの先評価されないですよ。
今日中に仕上げてください。

●部下Bさん
すいません。
改善します。

その後の部下Bさんと同僚の会話

●部下Bさん
またあれ(上司A課長)に「スピード対応しろっ!」て言われた。
スピード、スピードってそればっかり。
俺はスピードよりも品質重視なんだよ。
品質に拘らないとお客さん獲得できないでしょ。
品質が低い企画書なんて提出できないよ。
俺のやり方の方が正しいんだよなあ。
課長の考え方が間違ってる。
腹立つわ!
今度あの課長に同じ事言われたら、言い返してやろうかな。
前の課長にはそんな事言われなかったし。
あー課長が前の●●さんだったら、結果出してる俺のこともっと評価してくれんだけど。
今のA課長じゃ評価されないよ。
●●課長戻ってきてくれないかなぁ。
そう思わない?

こんなシーン、仕事してるとよく見かけますよね。

売上を上げたいという目的は一緒でも、上司Aと部下Bでは手法に対する考え方が相違しています。

お互いが良い気持ちにはなっておらず、この様な関係性が継続すればストレスは溜っていくことになるでしょう。

では、このケースで部下Bさんの会話に出てきた「自分が正しい」「上司が間違っている」「言い返してやる」という行動を実行した場合、上司A課長は変わるでしょうか。

結論、
「上司A課長は変わらない」
です。

他人は変えられないからです。

他人を変えられない理由

なぜ、他人は変えられないか。
他人を変えられない理由。

それはシンプルに

宇宙の法則、自然の摂理で他人は変えられないように決まっている

からです。

モノを落としたら下に落ちる「万有引力の法則」と同じくらいシンプルです。

なんだよ。
その理由と思う方も多いと思います。

そうなんです。

モノを落としたら下に落ちるというのは学校で習った万有引力の法則で素人でもなんとなく説明はつくのですが、この「他人は変えられない」というのは学校で教えられてない法則なので頭の中にクエスチョンがいっぱい出てきてしまうのです。

ですが、「他人を変えられない」を説明するのには、これ以外の理由は存在しないのです。

他人は変えられないように宇宙の法則、自然の摂理で決まっている

想像してみてください。

もし、「他人の意識を自由自在に変えられる」
逆に、「他人に自分の意識を自由自在に変えられる」
世界があったら。

そんな世界が実際に存在したならば、この世の中はどんなに楽で楽しく、恐ろしい世界になるでしょうか。

自分が他人の意識を変えられる世界

では、まず自分が他人の意識を変えられる世界とはどんな世界でしょうか。

自分が他人の意識を自由に変えられたら、自分の思い通りの世界になります。

正にドラえもんの世界です。
想像しただけで楽しいですよね。

例えば、前述した例の部下Bさんと上司A課長。

上司A課長に評価されていない部下Bさんが上司A課長に評価してもらいたいと思ったら
「俺のことを評価しろ~評価しろ~」
と念じる。

その瞬間、A課長は
「Bさん。
いつも頑張ってるね。
成績も同年代でトップだし。
明日から課長として活躍してもらいたい。
よろしく頼むよ。」
と変わった。

「おっ!あの子かわいいな。付き合いたい。」と思ったらその子に
「好きになれ~」
と念じる。
その子はすぐに自分のことを好きになった。

「おれは今日からこの会社の社長になる」と思って、会社の役員に
「私が今日からこの会社の社長になります。臨時株主総会を開いて私を社長にするように整えてください。」
と言ったら、社長になった。

いかがしょうか。

他人の意識を変えらる世界。
こんなに楽で楽しいことはないですよね。

実際にはこんな世界は絶対にあり得ないのですが。

他人が自分の意識を変えられる世界

半面、自分が他人の意識を変えられるという事は自分の意識も他人によって自由に変えられるという事。

これは恐ろしい世界です。

他人に自分の意識を変えられる世界を見てみましょう。

例えば他人に
「今からお前は殺し屋だ。
今日中にあいつを殺してくれ。」
と言われたら、殺し屋になんてなりたくないのに殺しに行く自分に変えられた。

「わたしと付き合って」
と他人から言われたら好きでもないのにすぐに付き合う自分に変えられた。

「私あなたのことが嫌いなので、私の近くから消えてください。今すぐ引っ越してください。」
と言われたら、自分は今のところに住んでいたいのに引っ越しする自分に変えられた。

いかがですか?

他人に意識を自由自在に変えられるって恐ろしくないですか?

恐ろしいですよね。

漫画やドラマ、フィクションの世界ではありそうな話ですが。

自分が他人の意識を自由自在に変えられる、逆に他人に自分の意識を自由自在に変えられる。

そんな世界、実際にあり得ないですし、あってはならないですよね。

そうなんです。
あり得ない、あってはならないというのが重要なポイントです。

この世界で、あり得ない、あってはならないということは、
つまり、

他人の意識は変えられないように宇宙の法則・自然の節理で決まっている

という事なのです。

モノを落としたら下に落ちる万有引力の法則と同じ理屈です。

「モノを落としたら宙に浮く」なんてことあり得ないですよね。

「他人を変えられない」も万有引力の法則と同じ宇宙法則、自然の摂理なのです。

改めて言います。

「他人は変えられない」

万有引力の法則みたいに、この「他人を変えられない」も「〇〇の法則」みたいな名前があればいいなぁと思います。
私だけでしょうか。

【変えられるのは自分だけ】

他人は変えられないのですが、自由自在に変えられるものがあります。

それは、「自分」です。

これも宇宙の法則、自然の摂理です。

この世界で唯一自分だけは自由自在に変えることが可能です。

先日、この他人は変えられないをテーマに研修でお伝えした際、
「変えられるのは自分だけ」
について説明できる良い質問が出ましたので紹介します。

イメージしやすいように会話形式で表記します。

他人は変えられない。変えられるのは自分だけ。

とある研修会場での受講者とわたし(矢島)のやり取り

●受講者Aさん
すみません。
矢島さん(わたし)。
本当に他人は変えられないのでしょうか。
実際、私は職場で成績の上がらない、Bさんをトップセールスマンに変えました。
他人は変えられると思います。
いかがでしょうか。

●矢島(わたし)
Aさん、ありがとうございます。
AさんのコーチングがあったからこそBさんはトップセールスマンになったのだと思います。
素晴らしいです。
拍手!(会場から拍手。Aさん照れる。)
実はこの「他人は変えられない」という話には続きがあります。
それは「変えれらるのは自分だけ」です。
ぜひ皆さんも聞いてみてください。

では、Aさん。
何点か質問してもいいですか?

●受講者Aさん
はい。

●矢島(わたし)
ありがとうございます。
では質問します。
AさんはトップセールスマンとなったBさんに尊敬されてますか?

●受講者Aさん
尊敬されてるか、、ですか。。
たぶん、尊敬されてると思います。

●矢島(わたし)
続いての質問です。
Aさんは誰かに変えられたという経験はありますか?

●受講者Aさん
はい。
わたしもBさんみたいに入社当時は営業が出来なかったのですが、
その時の課長が営業のイロハを教えてくれて成績を上げられるようになりました。
あの時の課長に私は変えられた経験があります。

●矢島(わたし)
素晴らしいですね。
では、Aさんはその課長を尊敬してますか?

●受講者Aさん
尊敬してます!

●矢島(わたし)
最後の質問です。
その課長を尊敬すると決めたのは誰ですか?

●受講者Aさん
誰?
うーん。
自分(わたし)ですか。

●矢島(わたし)
そうですよね。
尊敬すると決めたのは自分ですよね。

間違っても、その課長がAさんを「俺のこと尊敬しろっ」なんてコントロールしたから尊敬したわけではないですよね。
つまり、他人に変えられてない。
そもそも、そんな課長だったら尊敬してないとは思いますが(笑)

そうなんです。

先ほども言いましたが、他人は変えられないには続きがあって
その続きは
「変えられるのは自分だけ」
なんです。

課長から営業のイロハを教えてもらって育ったAさんも、
Aさんがトップセールスマンに育てたBさんも、
自分の意識を変えて自分が努力した結果、素晴らしい実績を残した。

つまり、だれかの影響は受けたものの、それをやろうと決めて行動したのは自分、本人なんです。

仮に、Aさんが課長の教えを聞くことさえしなかったら成績は上がらなかった。
Aさんは課長の教えを聞くと自分が決めて行動を起こした。

Aさんが育てたBさんも、Aさんの話にそもそも聞く耳をもたなかったら成績は上がらなかった。
BさんもAさんの話を聞くと自分が決めて行動したからトップセールスマンになったのです。

いずれも決めているのは自分です。

他人を変えることは出来ませんが、自分を変えることは出来ます。
しかも自由自在に。

例えば、
他人からご飯たべたらと言われて、すぐ食べる、少ししてから食べる、食べないなどと決めるのは自分です。

他人から勉強した方がいいよと言われて、勉強するか、勉強しないかを決めるも自分です。

今、ここで私の話を聞いているのも、決めたのは自分です。

全て決めるのは自分です。

そして、自分の意識は自由自在に変えることが出来ます。

例えば、
今まで勉強が嫌いだった人が今のままではダメだ。勉強しようと意識を変えて勉強する。

マラソンなんて無理と思ってた人が、健康をテーマにしたテレビ番組をみて「よし俺も走る」と決めて走る。

継続するかはまた別の話ですが(笑)

自由自在ですよね。
マラソンなんて無理って思ってた人が一瞬で「俺も走る」に変わるんですよ。

意識は一瞬にして変えることが出来ます。
つまり、生まれ変わることが出来るのです。

性格もそうです。

「私は人前で話すのが苦手な性格です。」
という人がいますが、それを決めてるのは誰ですか?
自分なんです。

この性格の話、生まれ変わる話をすると長くなってしまうのでこの辺で止めますが。
この話はまた別の機会に。

いずれにしても、自分を変えることは一瞬で出来ますし、自由自在なのです。

話をAさんの質問に戻します。

「他人を変えることが出来るのではないか」
という質問の回答は

「本人が意識を変えたから変わった」

つまり、
他人に意識を変えられたのではなく、本人が自らの意志で意識を変え行動した
です。

今回の例で言うと、本人とはAさんとBさんです。

もちろん、
その本人が意識を変えるきっかけをつくったのはAさんとAさんの課長です。

AさんとAさんの課長は他人から尊敬されるくらい高い人間力を持っているという事ですね。

他人から尊敬されるって結構難しいんですよ。

皆さん、これまでの人生で尊敬してますって言われたこと何回ありますか?

家に帰って「何回言われたかなぁ」って考えてみてください(笑)

以上、「他人は変えられない。変えられるのは自分だけ。」でした。

Aさん、質問の回答になってますでしょうか?

●Aさん
ありがとうございます。
よく理解出来ました。
確かに、私がダメ社員だった時、もう一人教えてくれた先輩がいたんですけど、しっくりこなくて、、
そんなタイミングで課長が異動でやってきて教えてくれたんですが、しっくりきたんです。
考えてみれば、その先輩の教えと課長の教えのどちらを聞くかと決めたのも自分ですし、それを実行に移したのも自分なんですね。

自分がやったと思うとなんか自信が出来てきました(笑)

これまで
人は変えられると思ってましたけど、他人に変えられるのではなく、本人が変わる
が正解だったんですね。

ありがとうございました。

●矢島(わたし)
そうですね。
変われるのは自分しかないんです。

他人に変えられると思うのか、自分が変わると思うのか。
他人を変えられると思うのか、他人は変えられないと思うのか。
実はここに大きな差があるんです。

今後、Aさんは無いと思いますが、
他人を変えられると思ってしまうと、それを成功体験として大きな勘違いをしてしまうことがあるんです。

この辺もまた別の機会にお話します。

最後にもう一度、
「他人は変えられない」「変えられるのは自分だけ」

Aさん、素晴らしい質問ありがとうございました。

ぜひ高い人間力を発揮して、素晴らしい営業マンを育てていってください。

Aさんに拍手!

他人を変えようとすると無駄なエネルギーを消費する

ここまで、「他人は変えられない。変えられるのは自分だけ。」という話をしてきました。

「他人を変えられない」理由は「宇宙の法則、自然の節理で変えられないようになっている」からです。

この宇宙の法則、自然の節理で決まってる他人は変えられないという法則を理解されてない方が非常にに多く存在するなと感じます。

例えば、前述した例えの部下Bさんもそうです。

「A課長の考えは間違ってる。」
「俺の方が正しいって言ってやろうかな。」

これは自分の考えにA課長を変えてやろうとしている典型的な例で、
他人は変えられないという法則に見事に逆らっています。

つまり、変えられないものを無理やり変えようとしている状態。

例えるならば、引力に逆らって常にジャンプしている状態です。

そのジャンプの高さが低く且つその期間が短ければ、まだ救いようがあるのですが、
「もっと変えてやろう」と思って更に高く飛び続ける。

実際にやってみてください。
50cmの高さを日中起きてる間、ずーーっと永遠にジャンプし続ける。

どうでしょうか。
疲れますよね。

そうなんです。
何事も法則に逆らうと無駄なエネルギーを消費してしまう事になるのです。

他人を変えるということは法則に逆らうことになるので疲れる。
無駄なエネルギーを消費しているのです。

では、どうすれば無駄なエネルギーを使わずにすむのか。

その答えがアドラー心理学の「課題の分離」の中に隠されています。