旅行会社の新人研修後、すぐOJTで大丈夫? ~配属前に学ばせたいこと~

新入社員研修が終わったら、それぞれの部署へ配属し、OJTで仕事を覚えてもらう。
多くの企業で行われている新人育成の流れです。
旅行会社でも、ビジネスマナーや旅行業界の基礎知識などを学んだ後、営業、店頭、企画、手配など、それぞれの職場で実務を覚えていくケースが多いと思います。
もちろん、旅行会社の仕事は現場でなければ学べないことが数多くあります。
だからこそOJTは重要です。
一方で私は、「基礎研修が終わったら、すぐOJT」だけでよいのだろうかとも考えています。
OJTで起こりやすい「点」で仕事を覚える状態
例えば手配業務に配属された新人が、先輩から宿泊施設への予約方法を教わったとします。
最初は、教えられた通りに進めるだけでも精一杯でしょう。
しかし、本来その手配の前には、
お客様からの相談
↓
要望や条件の確認
↓
旅行の企画
↓
見積
といった仕事があります。
そして手配した後にも、確認や変更対応、関係者との連携、旅行の実施など、さまざまな仕事が続きます。
自分が担当する業務だけを覚えていると、
「なぜ、この情報が必要なのか」
「この仕事はどこから来たのか」
「自分の仕事の次に誰が動くのか」
が分からないまま、仕事を覚えてしまうことがあります。
つまり、仕事を「点」で覚えている状態です。
OJT担当者によって教え方が変わる
もう一つ、新人教育で考えておきたいのが、OJT担当者による違いです。
現場には、新人育成が得意な人もいれば、そうでない人もいます。
また、日々の業務を抱えながら新人を育成するため、十分な時間を確保できないこともあります。
その結果、
「まずこれをやって」
「これはこう処理して」
「分からなかったら聞いて」
と、どうしても目の前の業務を教えることが中心になりがちです。
これはOJT担当者だけの問題ではありません。
現場で通常業務を行いながら、新人に旅行会社の仕事全体を一から体系的に教えること自体が難しいからです。
配属前に「地図」を持たせておく
そこで、新人がOJTに入る前にやっておきたいことがあります。
それが、旅行会社の仕事の全体像を見せることです。
私はこれを、新人に仕事の「地図」を渡すようなものだと考えています。
例えば、
お客様の相談
→ ニーズ・条件の確認
→ 旅行の企画
→ 手配
→ 原価・見積
→ 確認・調整
→ 旅行の実施
という一連の流れを一度経験しておく。
もちろん、この段階で一つひとつの業務を完璧にできる必要はありません。
「旅行会社の仕事は、このようにつながっている」
という全体像を知っておくだけでも意味があります。
「地図」があると、OJTで現在地が分かる
地図を持っていれば、配属後に教わった仕事が、旅行全体のどこに位置しているのかが分かります。
例えば、
「今日は見積の作り方を教えます」
と言われたときも、
単に見積書の作成方法を覚えるだけではなく、
「企画した旅行を実現するために必要な原価を積み上げ、販売価格や利益を考える仕事なんだ」
と理解できます。
手配業務を教わったときも、
「営業から受け取った情報をもとに、自分が交通や宿泊を確実に押さえ、その後の仕事へつなげていくんだ」
と、自分の役割が見えてきます。
仕事の「やり方」と「意味」がつながる。
これが、OJTに入る前に全体像を理解しておく大きなメリットです。
新人教育とOJTは、どちらか一方ではない
新人研修とOJTを別々に考える必要はありません。
基礎研修には、基礎研修の役割があります。
OJTには、OJTでしかできない育成があります。
大切なのは、その間がつながっていることです。
私は旅行会社の新人教育を、
基礎を「知る」
↓
仕事全体を「つなげて理解する」
↓
OJTで「身につける」
という流れで考えています。
新人研修で何もかも教えようとする必要はありません。
反対に、すべてをOJTに任せる必要もありません。
それぞれの育成方法が得意なことを分担する。
その方が、新人にとっても、OJTを担当する現場にとっても分かりやすい育成になると考えています。
OJT担当者の負担を減らすことにもつながる
新人が仕事の全体像を理解してから配属されれば、OJT担当者もゼロからすべてを説明する必要がなくなります。
「研修でやった旅行の流れを思い出してみよう」
「今回は、その中のこの仕事を担当するよ」
と、共通の土台から指導を始めることができます。
新人教育を考えるとき、どうしても「新人に何を学ばせるか」に目が向きます。
しかし、現場が新人を育てやすい状態をつくることも、新人教育を設計するうえで大切な視点ではないでしょうか。
2027年度の新人教育を「研修+OJT」で考える
Bss Consulでは、旅行会社・旅行関連企業の新入社員を対象に、「旅行業界 新人実務スタートアップ研修」を実施しています。
一つの旅行ケースを使いながら、
相談 → 企画 → 手配 → 原価・見積 → 実施
までを体験し、旅行会社の仕事の全体像と、それぞれの仕事のつながりを学びます。
目指しているのは、研修だけで実務ができる新人をつくることではありません。
OJTで教わることの意味が分かる状態で、現場へ送り出すこと。
そのための「配属前の実務スタートアップ」という位置づけです。
2027年度の新人教育について、
「基礎研修とOJTの間に何か必要ではないか」
「配属後の教育をもう少しスムーズにしたい」
「OJT担当者による教育のばらつきを少なくしたい」
とお考えでしたら、現在の新人教育の流れから一緒に整理します。
▶ 旅行業界 新人実務スタートアップ研修2027の詳細はこちら
あわせて読みたい
▶ 旅行会社の新人教育は何を教えるべき?新入社員研修からOJTまでの考え方
旅行会社の新人教育全体を「知る → つなげる → 身につける」の3段階で整理しています。


